本号では、信託の終了、清算についての解説をしていきます。あわせて、補足的ですが、信託財産の破産について言及します。
1.信託の終了(163〜174条)
信託は、以下の事由により終了します。
(1)一般的な事由
- 信託の目的の達成または達成不能となったとき
- 受託者が1年間継続して受益権の全部を固有財産としたとき
- 受託者が欠け、1年間継続して新受託者が就任しないとき
- 費用償還等の不足のため受託者が信託を終了させたとき
- 信託の併合がなされたとき
- 信託財産について破産手続開始の決定があったとき
- 委託者の破産等の手続開始決定により、破産法等の規定に基づき信託契約が解除されたとき
- 信託行為において定めた終了事由が発生したとき
- 委託者および受益者の合意したとき
(2)特別な事由
- 特別の事情による信託の終了を命ずる裁判
- 公益確保のための信託の終了を命ずる裁判
2.信託の清算(175条〜184条)
現信託法では、信託終了後の清算手続についての規定がありませんでしたが、改正信託法では清算関係についての規定が新設されました。
(1)清算の開始等
信託が終了した場合には清算をしなければならないこととされ、清算結了するまでは、信託は存続するものとみなされました。
(2)清算の開始等
- 清算受託者は、以下の職務を行います。
- 現務の結了
- 信託財産に属する債権の取立て
- 信託債権にかかる債務の弁済
- 受益債権にかかる債務の弁済
- 残余財産の給付
- 権限
清算受託者は、信託行為に別段の定めがある場合を除き、信託の清算に必要な一切の行為を行う権限を有します。
- 職務の終了
清算受託者は、その職務終了後遅滞なく、信託事務に関する最終の計算を行い、受益者および帰属権利者にその承認を求めなくてはなりません。
(3)債務の弁済
清算手続における債務の弁済については、会社の清算にならって以下の規定が設けられています。
- 条件付債務等の弁済の特則
- 債務弁済前の残余財産の給付の制限
(4)残余財産の帰属
- 原則
残余財産は、信託行為において残余財産の帰属すべき者と指定された者または残余財産の給付を内容とする受益債権に係る受益者に帰属します。
- 例外1
残余財産について帰属する者の定めがない場合や定められた全員がその権利を放棄した場合には、残余財産は委託者に帰属します。
- 例外2
前記a、bによっても残余財産にいついて帰属する者が定まらないときには、残余財産は清算受託者に帰属します。
3.信託財産の破産
現信託法では、法人格のない信託財産の破産を認めていませんが、改正信託法では、その整備法によって改正される破産法(新破産法「10章の2 信託財産に関する特則」)において、信託財産の破産についての規定が設けられています。
なお、改正信託法においても、信託財産の再生、更生手続は認めていません。