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法務の窓 改正信託法


2007.5.11発行 No.5
改正信託法条文ポイント解説[第3章 受託者等 その2]
前号に続き受託者についての解説をしていきます。

〜前号(NO.4)〜

1.受託者の権限(26〜28条)
2.受託者の義務等(29〜39条)
3.受託者の責任等(40〜47条)
4.受託者の費用、報酬(48〜55条)

5.受託者の変更等(56〜74条)

(1)受託者の任務終了
 受託者の任務は、次の事由により終了します。
  1. 受託者である個人の死亡のとき
  2.   
  3. 受託者である個人が後見開始又は保佐開始の審判を受けたとき
  4.   
  5. 受託者が破産手続開始の決定を受けたとき
  6. >   
  7. 受託者である法人が合併以外の理由により解散したとき
  8.   
  9. 受託者が辞任したとき
  10.   
  11. 受託者が解任されたとき
  12.   
  13. 信託行為において定めた事由が生じたとき
 なお、破産手続開始決定を受けた場合であっても信託行為の定めにより、受託者の任務が終了しないとすることができます。

(2)前受託者の義務等
 受託者の任務が終了した場合において、信託財産が受託者の不在による損害を受けないようにするため、任務終了事由に応じて、前受託者あるいは前受者相続人等に、受益者あるいは破産管財人に対する通知、信託財産の保管ならびに信託事務の引継ぎに必要な行為をする義務を課しています。

(3)新受託者の選任
 受託者の任務が終了した場合において、信託行為に新受託者に関する定めがないとき、または信託行為の定めにより新受託者となるべき者として指定された者が信託の引受けをせず、もしくは引受けをすることができないときは、委託者および受益者は合意により新受託者を選任することができます。
 裁判所は、利害関係人の申立てによりこの合意に関する協議の状況その他の事情に照らして必要があると認めるときは、新受託者を選任することができます。

(4)信託財産管理者等
  1. 信託財産管理者
     受託者の任務が終了した場合において、裁判所は、利害関係人の申立てにより、新受託者が選任されておらず、かつ必要があると認められるときは、新受託者が選任されるまでの間、信託財産管理者による管理を命ずる処分をすることができます。
     信託財産管理者は、信託財産の保存行為、利用行為および改良行為をする権限を有し、権限を越える行為をするには、裁判所の許可を必要とします。
  2. 受託者の死亡により任務が終了した場合の信託財産の帰属等
     受託者の死亡により受託者の任務が終了した場合には、信託財産の帰属を明らかにするため、信託財産は法人となります。
     この場合、裁判所は、利害関係人の申立てにより必要があると認めるときは、信託財産法人管理人による管理を命ずる処分をすることができます。信託財産法人管理人の権限は、信託財産管理者の規定が準用されています。
     なお、成立した法人は、新受託者が就任したときは、法人とする必要がなくなるため、成立しなかったものとみなされます。ただし、信託財産法人管理人がその権限内でした行為は有効です。


(5)受託者変更に伴う権利義務の承継等
 受託者の任務が終了した場合において、新受託者が就任したときは、新受託 者は、前受託者の任務の終了した時にさかのぼって、その時に存する信託に関する権利義務を前受託者から承継したものとみなされます。ただし、受益者および委託者の同意を得た辞任により受託者の任務が終了したときは、辞任した受託者は、引き続き受託者の権利義務を有することから、新受託者は、就任した時に存する権利義務を辞任した受託者から承継したものとみなされます。

6.受託者が2人以上ある信託の特例(79〜87条)

(1)信託財産の性質
 信託財産は、合有となります。つまり、受託者間で信託財産の分割請求、持分譲渡等をすることはできません。

(2)事務処理の方法
  1. 信託事務の意思決定
     原則として、共同受託者の過半数をもって決定します。ただし、保存行為については、各受託者が単独で決定することができます。
  2. 信託事務の執行
     決定された信託事務は、決定に基づき各受託者が他の受託者を代理して単独で執行することができます。
  3. 信託行為に受託者の職務の分掌に関する定めがある場合
     各受託者は、分掌された職務の限度で信託事務を決定し、執行することができます。
  4. 受託者に対する意思表示
     第三者がする受託者に対する意思表示は、受託者の1人に対してすれば足ります。

(3)受託者の責任等の特例
 受託者がその任務に違反する行為をした場合に、損失てん補等の責任を負う場合には、任務違反行為をした各受託者は連帯債務者となります。任務違反行為をした場合の責任は、受益者に対してだけでなく、他の受託者に対しても負います。
 なお、任務違反行為に関与していない受託者は責任を負いません。

  (4)受託者の変更等の特例
  1. 前受託者の義務等
     受託者の任務が終了した場合の受益者に対する通知義務は、他の受託者に対しても行う必要があります。なお、保管および信託事務の引継ぎに必要な行為をする義務については、すべての受託者の任務が終了した場合についてのみ適用されます。
  2. 受託者の死亡により任務が終了した場合の信託財産の帰属等
     死亡によりすべての受託者の任務が終了した場合にのみ信託財産が法人となります。
  3. 権利義務の承継等
     受託者の任務が終了したときの権利義務の承継については、その任務が終了した時に存する信託に関する権利義務は他の受託者が当然に承継し、その任務は他の受託者が行うことになります。ただし、信託行為に定めがある場合には、それに従うことになります。

(5)信託の終了の特例
 すべての受託者が欠けた場合に新受託者が就任しない状態が1年間継続した場合には、信託は終了します。
 なお、受託者の一部が欠けた場合であっても、信託行為の定めにより、その任 務が他の受託者によって行われず、かつ新受託者が就任しない状態が1年間継 続した場合にも、信託は終了します。
(文責 新坂貴典)
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