本号では、「限定責任信託の登記申請」について解説していきます。
なお、本号の内容は、平成19年8月20日付け法務省民商第1680号通達に基づいておりますが、意見にわたる部分につきましては、筆者の個人的見解でありますことを、あらかじめお断りしておきます。
1.限定責任信託の定めの登記申請
(1)登記申請人
限定責任信託の定めの登記は、受託者の申請によってなされます。
ただし、信託財産管理者又は信託財産法人管理人が選任されている場合には、信託財産管理者又は信託財産法人管理人の申請によってなされます。
(2)登記期間
信託行為において限定責任信託の定めがされたときは、2週間以内に限定責任信託の定めの登記をしなければなりません。
(3)登記すべき事項
改正信託法と登記7「限定責任信託の登記事項」参照。
以下、登記すべき事項については、説明を省略させていただきます。
(4)添付書面
改正信託法と登記8「限定責任信託の登記の添付書面」参照。
以下、添付書面については、説明を省略させていただきます。
(5)登記免許税
1件につき、30,000円となります。
(6)登記申請書の記載例
| 1.名称 |
限定責任信託○○ |
| 1.事務処理地 |
○県○市○町○丁目○番○号 |
| 1.登記の事由 |
限定責任信託の定め |
| 1.登記すべき事項 |
別添FDのとおり |
| 1.登録免許税 |
金30,000円 |
| 1.添付書面 |
限定責任信託の信託行為を証する書面 1通 委任状 1通 |
別添FDへの入力例
「限定責任信託の名称」限定責任信託○○
「限定責任信託の事務処理地」○県○市○町○丁目○番○号
「限定責任信託の効力発生日」平成○○年○○月○○日
「限定責任信託の目的」信託不動産の管理運用
「受託者等に関する事項」
「資格」受託者
「住所」○県○市○町○丁目○番○号
「氏名」○○○○
「限定責任信託の終了の事由」
限定責任信託は、平成○○年○○月○○日に終了する。
「登記記録に関する事項」設定
2.受託者の変更の登記申請
(1)登記申請人
受託者の変更の登記は、受託者の申請によってなされます。旧受託者が退任して、新受託者が選任された場合は、新受託者の申請によってなされます。
ただし、信託財産管理者又は信託財産法人管理人が選任されている場合には、信託財産管理者又は信託財産法人管理人の申請によってなされます。
(2)登記期間
受託者に関する登記事項に変更があったときは、2週間以内に、その変更の登記をしなければなりません。
(3)登記免許税
1件につき、15,000円となります。
(4)登記申請書の記載例
| 1.名称 |
限定責任信託○○ |
| 1.事務処理地 |
○県○市○町○丁目○番○号 |
| 1.登記の事由 |
受託者等に関する事項の変更 |
| 1.登記すべき事項 |
平成○年○月○日 受託者○○辞任 同日 下記の者就任 ○県○市○町○丁目○番○号 受託者 ○○○○ |
| 1.登録免許税 |
金15,000円 |
| 1.添付書面 |
辞任届 1通 委託者及び受益者の同意があったことを証する書面 2通 信託行為の定めがあることを証する書面 1通 就任承諾書 1通 委任状 1通 |
3.限定責任信託の終了および清算受託者の登記申請
(1)登記申請人
限定責任信託の終了および清算受託者の登記は、清算受託者の申請によってなされます。
ただし、限定責任信託の終了の登記をすべき場合のうち、限定責任信託の定めの廃止による変更は、実際に当該信託が終了するわけではないので清算受託者は存在しないため、この場合における限定責任信託の定めの廃止による終了の登記は、受託者の申請によってなされます。
(2)登記期間
限定責任信託の終了事由が発生したとき、または限定責任信託の定めを廃止する旨の信託の変更がされたときは、2週間以内に、終了の登記をしなければなりません。
(3)登記免許税
限定責任信託の終了の登記は、1件につき、15,000円となります。
また、最初の清算受託者の登記は、1件につき、6,000円となります。
(4)登記申請書の記載例
| 1.名称 |
限定責任信託○○ |
| 1.事務処理地 |
○県○市○町○丁目○番○号 |
| 1.登記の事由 |
終了 清算受託者の選任 |
| 1.登記すべき事項 |
平成○○年○○月○○日 信託の目的を達成したことにより終了 ○県○市○町○丁目○番○号 清算受託者 ○○○○ |
| 1.登録免許税 |
金21,000円 |
| 1.添付書面 |
信託の目的が達成したことを証する書面 1通 信託行為の定めがあることを証する書面 1通 就任承諾書 1通 委任状 1通 |
4.印鑑の届出
(1)印鑑届出書
限定責任信託の登記においても、株式会社等と同様、受託者等登記申請書に押印する者は、あらかじめ印鑑を登記所に提出しなければなりません。印鑑は、一定の事項を記載し、提出しようとする印鑑および提出者の印鑑を押印した印鑑届出書という書面に、下記の書面を添付して提出します。
(2)印鑑届出書の添付書面
印鑑届出書に添付すべき書面については、次のとおりとなります。
a.提出者が個人の場合
印鑑届出書に押印した印鑑につき市区町村長の作成した印鑑証明書で作成後3月以内のもの。
b.提出者が法人の代表者(当該代表者が法人である場合にあっては、その職務を行うべき者)の場合
登記所の作成した当該代表者の資格を証する書面(登記事項証明書)及び印鑑届出書に押印した印鑑につき登記所の作成した印鑑証明書でいずれも作成後3月以内のもの。
5.関連条文
(1)改正信託法
第232条(限定責任信託の定めの登記)、第233条(変更の登記)、
第235条(終了の登記)、第239条(登記の申請)、第247条(商業登記法の準用)
(2)登録免許税法
別表第一第28の2号
(3)商業登記法
第20条(印鑑の提出)
(4)限定責任信託登記規則
第3条(印鑑の提出)