本号では、「限定責任信託の登記の添付書面」について解説していきます。
なお、本号の内容は、平成19年8月20日付け法務省民商第1680号通達に基づいています。
1.限定責任信託の定めの登記の添付書面
限定責任信託の定めの登記の申請書には、次の書面を添付する必要があります。
(1)限定責任信託の信託行為を証する書面として、契約書、遺言書、公正証書、公証人の認証を受けた書面または電磁的記録、受益者となる者として指定された第三者に対する確定日付のある証書による通知等を添付します。
(2)受託者が法人の場合は、当該法人の登記事項証明書を添付します。
(3)代理人によって登記を申請するときは、代理権限を証する書面を添付します。 (なお、代理人によって登記を申請するときは、常に代理権限を証する書面が必要となりますので、以下、記載を省略します。)
2.受託者の就任及び変更の登記の添付書面
(1)新受託者の就任の登記の添付書面
a.信託行為の新たな受託者に関する定めによる選任の場合は、当該定めがあることを証する書面として、契約書等を添付します。
b.委託者及び受益者の合意による選任の場合は、当該合意があったことを証する書面を添付します。
c.上記a.b.の場合、就任承諾したことを証する書面と受託者が法人の場合は、当該法人の登記事項証明書を添付します。
d.受託者である法人が合併・分割をした場合、合併または分割後の法人の登記事項証明書を添付します。なお、分割による受託者の権利義務の承継があった場合は、受託者の権利義務が承継されたことのわかる吸収分割契約書または新設分割計画書も添付します。
(2)旧受託者の任務の終了の登記の添付書面
任務の終了の事由が発生したことを証する書面として、次の書面を添付する必要があります。
a.受託者が死亡した場合は、死亡届
b.受託者が後見開始または保佐開始の審判を受けた場合は、当該審判があったことを証する書面
c.受託者が破産手続開始の決定を受けた場合は、当該決定書
d.受託者である法人が解散した場合は、当該法人の解散の登記のある登記事項証明書
e.信託行為の定めた事由により任務が終了した場合は、契約書等
(3)受託者の辞任の登記の添付書面
a.委託者および受益者の同意を得て辞任した場合は、辞任届と委託者および受益者の同意があったことを証する書面
b.裁判所の許可を得て辞任した場合は、裁判所の決定書
(4)受託者の解任の登記の添付書面
a.委託者と受益者の合意により解任した場合は、当該合意があったことを証する書面
b.受託者が任務に違反した場合において、委託者または受益者の申立てにより裁判所が解任の決定を行った場合は、裁判所の決定書
3.限定責任信託の終了の登記の添付書面
限定責任信託の終了の登記の申請書には、限定責任信託の終了の事由の発生を証す書面として、次の書面を添付する必要があります。
(1)信託の目的を達成したとき、または達成することができなかったときは、それらを証する書面の添付を必要としますが、具体的には清算受託者の上申書等を添付します。
(2)受託者が受益権の全部を固有財産で有する状態が1年間継続したときは、それを証する書面の添付を必要としますが、具体的には清算受託者の上申書等を添付します。
(3)新受託者が就任しない状態が1年間継続したときは、旧受託者の退任を証する書面および清算受託者の就任を証する書面を添付します。
(4)受託者が改正信託法52条等の規定により信託を終了させた場合は、委託者および受益者への通知書を添付します。
(5)破産法53条等の規定により信託契約が解除されたときは、信託契約の解除がされたことを証する書面の添付を必要としますが、具体的には破産管財人からの通知書等を添付します。
(6)信託行為の定めた事由の発生により信託が終了した場合は、信託行為に当該終了事由の定めがあることおよび当該事由が発生したことを証する書面の添付を必要としますが、具体的には契約書等を添付します。
(7)委託者および受益者の合意による信託の終了の場合は、委託者および受益者の合意書を添付します。
(8)限定責任信託の定めを廃止する旨の信託の変更がされた場合は、委託者、受託者および受益者の合意があったことを証する書面等を添付します。
4.関連条文
(1)改正信託法
4条1項(契約書)、4条2項(遺言書)、4条3項1号(公正証書等)、4条3項2号(確定日付のある証書による通知)、56条(受託者の任務の終了事由)、163条(信託の終了事由)、164条(委託者および受益者の合意等による信託の終了)、240条(限定責任信託の定めの登記の添付書面)、241条(変更の登記の添付書面)、242条(終了の登記の添付書面)、247条(代理権限証書)
(2)商業登記法
18条(代理権限証書)