本号では、「信託目録」について解説していきます。なお、現時点においては、改正不動産登記規則や改正不動産登記令が未確定でございますので、本稿中意見にわたる部分は筆者の個人的見解でありますことを、あらかじめお断りしておきます。
1.信託目録の趣旨
信託登記においては、信託条項等登記事項(前号参照)が長文になることも珍しくありません。そして、その長文の登記事項をそのまま登記すると、登記事項証明書が読みにくくなります。そこで信託登記では、登記事項をそのまま登記することはせず、信託目録という、いうなれば信託条項専用用紙を設けて、通常の登記とは別に登記することとされています。したがいまして、信託目録が信託登記の骨子であり、それ自体が信託登記そのものといえます。
ただし、責任限定信託登記に関しましては、信託目録の適用はないものと考え
ます。
2.信託目録の作成等
(1)信託目録の記載事項
信託目録には、以下の事項を記載します。
(a)委託者に関する事項
(b)受託者に関する事項
(c)受益者に関する事項
(d)信託の目的
(e)信託財産の管理方法
(f)信託の終了の事由
(g)その他の信託の条項
(2)信託目録の作成および提供方法
信託目録は、信託目録に記録すべき情報を申請人が提供し、その情報に基づいて登記官が作成することになります。
信託登記を書面で申請する場合は、申請人は、不動産登記規則で規定される様式による用紙に、信託目録に記録すべき情報を記載して提出しなければなりません。そして、この提出された書面は、そのまま信託目録とみなされ、登記所に備え付けてあります信託目録つづり込み帳につづり込まれ、閲覧の対象とされたり、登記事項証明書として交付されることになります。
なお、信託目録は不動産ごとに提出しなければなりません。信託目録は、工場財団等の財産目録とは異なり、不動産ごとにそれぞれの当事者や信託の目的を明確にする必要があるからです。
3.信託目録の取得
信託目録を取得しようとする場合、信託目録だけを請求することはできません。必ず、登記事項証明書とともに請求する必要があります。ただし、単に登記事項証明書の交付を請求しても、当然には信託目録は交付されませんので、登記事項証明書とともに信託目録も請求する必要があります。
4.信託目録の性質
前記1のとおり、信託条項はすべて信託目録に記載されますから、信託目録の記載事項が信託登記の登記事項そのものであり、信託目録は登記事項証明書の一部といえます。
なお、信託目録は信託登記の抹消をした日から20年間、各登記所にて保存されます。
5.関連条文
(1)不動産登記法
97条(信託の登記の登記事項)
(2)不動産登記令
別表65
(3)不動産登記規則
28条(保存期間)
176条(信託目録)
(4)不動産登記規則附則
12条(信託目録)