医師会等の公益等移行手続

公益法人制度改革による医師会、歯科医師会のための移行手続

公益法人制度改革により、平成20年12月1日に施行された『一般社団法人及び一般財団法人に関する法律』にともなって、社団法人である医師会または歯科医師会は、一定期間内に新法にのっとった法人に移行しなければならなくなりました。
つきましては、移行後の法人とするための選択肢と、移行手続、留意すべき情報を提供させていただきます。

移行の選択肢

移行後の法人とするには、大きく3つの選択肢があります。

  1. 認定を受け公益社団法人へ移行
  2. 認可を受け一般社団法人へ移行
  3. 解散し、新たな別の法人等を設立

申請の期限

医師会、歯科医師会は、平成25年11月30日までに、公益社団法人への認定の移行、または一般社団法人への認可の移行の申請を行わなければなりません。期限内に申請を行わなければ、その法人は解散したものとみなされます。
日本医師会、都道府県医師会、日本歯科医師会、都道府県歯科医師会は、ほぼ公益認定を取得する方向のようですが、郡市区医師会、郡市区歯科医師会は、それぞれが法人形態を選択しなければなりません。

非営利法人型一般社団法人と公益社団法人の違い

非営利法人型一般社団法人とは、税法上の優遇措置を受けることのできる一般社団法人のことです。以下にメリット、デメリットを挙げます。

非営利法人型一般社団法人

  • 行う事業に制限がない。
  • 法人の自主的・自律的な運営が可能。
  • 公益目的支出計画終了後は県知事等の監督を受けない。
  • 公益目的支出計画に従って、公益目的財産が零に至るまで、県知事等の監督を受ける。
  • 収益事業について課税される。ただし歯科医療保健業につき、厚生労働大臣の証明を受ければ引続き非課税となる。

公益社団法人

  • 公益という名称使用による社会的評価の向上
  • 国税、地方税における優遇措置
    (寄附税制など)
  • 県知事等による監督
    (報告徴集・立入検査、勧告・命令、認定取消)
  • 遵守事項
    (収支相償、遊休財産規制、 公益目的事業比率(50%以上))を満たさなくなれば許可取消

一般社団法人移行手続

移行の認可を県知事へ申請し、認可を受けた後、登記によって一般社団法人へ移行します(移行法人といいます)。移行後は、毎年県知事等へ公益目的支出計画実施報告書等の提出が義務付けられていますが、公益目的財産額がゼロになった後は、県知事等の監督・指導が終了し、一般社団法人となります。

補足

(1)移行の認可
  1. 移行登記を条件とする定款変更決議
    社員総会決議:総社員の4分の3以上の同意 ※旧主務官庁の認可不要
  2. 認可の申請要件
    1. 定款変更案の内容が法人法・各命令に適合
    2. 公益目的支出計画が適正であり、かつ、確実に実施すると見込まれるものであること。
      公益目的支出計画 = 公益目的財産に相当する金額を、公益の目的のために、計算上ゼロになるまで毎年消費していく計画
(2)一般社団法人への移行 → 移行法人へ
  1. 一般社団法人の設立登記 + 特例民法法人解散登記
  2. 県知事等の監督
    → 毎事業年度後、計算書類・公益目的支出計画実施報告書を県知事等へ提出
(3)公益目的支出計画実施の完了による県知事等の監督・指導の終了

→ 一般社団法人へ

一般社団法人へのモデルスケジュール

モデルスケジュールは以下のとおりです。

平成23年5月 定時総会(移行登記を条件とする一般社団法人への定款変更決議)
平成23年9月 移行認可の申請
平成24年3月 移行の認可
平成24年4月 一般社団法人の設立登記、特例民法法人解散登記
平成XX年6月 県知事等の監督終了

当事務所のサービス

以下のコンサルテーションおよび書類作成、手続を行います。

  1. 公益目的支出計画のシミュレーション
  2. 定款作成
  3. 移行認可申請
  4. 設立・解散登記

参考資料

歯科医師会の公益法人制度改革への対応 ― 一般社団法人への移行を中心として ―

医歯薬出版 『歯界展望』 2011年7月号

平成20(2008)年12月に施行された一連の公益法人制度改革による、新たな制度への対応として一般社団法人への移行を中心に解説(執筆 鈴木龍介)

メニュー